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空から見た東海道

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1926年2月15日と16日に東京シネマ商会が朝日新聞社と協働で行った東海道往復の航空撮影のフィルムで、トップおよびエンドいずれも欠落している。参考文献(『東京朝日新聞』各記事、『カメラと人生』)の記述をまとめると、初日は立川飛行場を離陸して東海道をたどり途中各務ヶ原(各務原)でいったん着陸して最終的に大阪まで行き、翌日は大阪を発って生駒、奈良、伊賀、津、伊勢湾を回り三方ヶ原で着陸小憩ののち、静岡、清水そして往路では悪天候で撮影できなかった富士山を撮影して立川に戻ったと考えられる。撮影を担当したのは当時東京シネマ商会所属の白井茂で、彼は回転のスムーズさと機構の安定性からベル・ハウエルのカメラを選んだが、使用量を2400フィートと想定したフィルム全部を飛行機に載せる余裕はなかったため、1200フィート分のネガを詰めたマガジンを各務原に用意しておいて着陸時に交換したという。白井自身は「この映画が大失敗だったことを後から感じ」ており、その理由は「航空撮影は珍しかったが、人に語りかけるものが余りにもばく然としていた」ためで、「この撮影で只何となくとっても映画は出来ないものだと言うことをハッキリと知らされた」と回想している(『カメラと人生』)。撮影に使われた航空機については『東京朝日新聞』(2月16日付)の記事に「本社東西定期航空會の(…)朝日第三十四號機」とあることから、参考文献(『J-BIRD 写真と登録記号で見る 戦前の日本民間航空機』)により登録記号「J-COOP」の複葉機サムルソン2A2だっと考えられる。また、元素材の冒頭に映る複葉機は機体の登録記号「J-CORS」から同じく同会所有の「朝日第39号」同型機だったことがわかる。東西定期航空会は『東京朝日新聞』の編集局長が東京大阪間の定期航空路開拓の計画を立て、日本の民間航空史に残る伊藤飛行機研究所および白戸飛行練習所の協力を得て朝日新聞社によって組織され、1923年1月11日に東京と大阪の両方から一番機が飛び立ったという(『朝日年鑑 大正十四年』『朝日新聞の九十年』)。

作品詳細

作品番号
ST000318
映画題名
空から見た東海道
映画題名ヨミ
ソラカラミタトウカイドウ
製作年月日
1926
時間(分)
14
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
東京シネマ商會、東京朝日新聞社
スタッフ
白井茂[撮影]熊野一等飛行士[操縦]
検閲番号等
1926年3月19日
9437、日、實、風、朝日ニュース 空から見た東海道、1巻、290m、東京朝日新聞社(製作者、申請者とも)、新免
1926年4月7日
A226、日、實、敎、敎、正、東海道、3巻、723m、東京シネマ商會(製作者)、芹川政一(申請者)、新
1926年7月27日
A4643、日、實、風、空より見たる東海道、3巻、709m、東京シネマ商會(製作者)、東京朝日新聞社(申請者)、新免
フィルム映写速度
16
備考
元素材は、1967年度にアメリカ議会図書館より返還された35㎜可燃性ポジフィルムを不燃化して作製した35㎜上映用ポジフィルム。
題名について、この航空撮影のフィルムは検閲記録などから東京シネマ商会と東京朝日新聞社それぞれで編集されて題名も尺長も異なる複数の作品にまとめられたと考えられ、元素材はメインタイトルが欠落しているため、そのいずれに該当するかあるいはいずれにも該当しないかは不明だが、ここでは検閲時報の記録も考慮した上で国立映画アーカイブのデータベースに登録された題名に基づいた。
参考文献
「航空/民間航空/朝日新聞社の定期航空」(『朝日年鑑 大正十四年』朝日新聞社、1924年)418-419頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/2994763/1/220
「本社機上から 航空映畫の撮影 東京シネマの白井技師が 立川から東海道下り」(『東京朝日新聞』1926年2月16日付)7面
「航空撮影の 人を終へ 本社朝日機 立川に歸着」(『東京朝日新聞』1926年2月18日付)7面
『特選敎育映画集』(東京シネマ商會、1932年)62頁
「東京―大阪定期航空を開始」(朝日新聞社社史編修室[編]『朝日新聞の九十年』朝日新聞社、1969年)341-342頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/12274074/1/190
白井茂『カメラと人生―白井茂回顧録―』(ユニ通信社、1983年)53-58頁
東京文化財研究所[編]河守鎮夫、中西正義、藤田俊夫、藤原洋、柳沢光二[編著]『J-BIRD 写真と登録記号で見る 戦前の日本民間航空機』(日本航空協会航空遺産景勝基金、2016年)249-250頁

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