フィルムは記録する

海軍大演習

海軍省が製作した大演習の記録。メインタイトル後の中間字幕には「此の映畫を觀る爲に必要な豫備知識」として艦隊や演習についての説明があり、海軍の活動についての知識と理解を一般に広める目的で製作された映画のひとつと考えられる。天皇の動向に重きを置いた『大禮特別觀艦式 昭和三年十二月四日』(ST000275)のような作品と異なり、演習参加艦艇上のカメラが捉えた演習活動を中心に構成されている。1巻のみの元素材は不完全版のため全体像は不明で大演習の実施時期も中間字幕では示されていないが、参考文献(『國際映畫年鑑 昭和九年版』)には海軍の広報活動を担う海軍軍事普及部の在庫作品中に『海軍大演習 昭二』という2巻物の作品の記載があり、それが本作に該当するのであれば、検閲記録と比較して元素材は半分以上の尺長が欠落していると考えられる。

作品詳細

作品番号
ST000281
映画題名
海軍大演習
映画題名ヨミ
カイグンダイエンシュウ
製作年月日
1927-1933
時間(分)
13
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
海軍省
検閲番号等
参考文献(『國際映畫年鑑 昭和九年版』)掲載の『海軍大演習 昭二』と巻数および尺長が一致する以下の検閲記録がある。
1930年10月25日
E13553、日、實、宣、軍、海軍大演習、2巻、585m、海軍省(製作者)、都商會(申請者)、新
フィルム映写速度
18
備考
元素材は、2004年度にロシア・ゴスフィルモフォンドより入手した35㎜不燃性ポジフィルム。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は264.597mで約320m短い。
製作年については、参考文献(『國際映畫年鑑 昭和九年版』)掲載の『海軍大演習 昭二』が製作されたと考えられる1927年以降の可能性も考慮し、作中に登場する潜水艦「ロ17」の除籍日である1936年4月1日(参考文献『【貴重写真で見る】日本潜水艦総覧』)以前に特別大演習が実施された1933年(参考文献『日本海軍史』)までの期間とした。
参考文献
「中央官公廰團體文化映畫利用狀況 在庫目錄 13海軍軍事普及部」(市川彩、石巻良夫、下石五郎[責任編集]『國際映畫年鑑 昭和九年版』國際映畫通信社、1934年)363頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1075886/1/251
海軍歴史保存会『日本海軍史 第十一巻』(海軍歴史保存会、1995年)32-33頁
勝目純也『【貴重写真で見る】日本潜水艦総覧』(学研、2011年)37頁