フィルムは記録する

學校敎科フイルム 京城だより

『尋常小学国語読本 巻十』の「京城の友から」および『尋常小学読本 巻十二』の「京城の伯母より」の内容に準拠した教材映画で、京城(ソウル)の駅と南大門を中心とした街並み、南山の風景や昌徳宮、景福宮、京城府庁、朝鮮ホテル、京城郵便局などが映し出され、民族衣装と冬の暮らしの一端が紹介される。読本の2つの文章はどちらも手紙の形式で書かれており、本作では小学生の友人の手紙である「京城の友から」に「京城の伯母より」の民族衣装と冬の気候の記述内容を加えた構成になっている。監修の青地忠三は中学校教諭や東京教育博物館主事を経て岡本洋行に招かれ、横浜シネマ商会(現・ヨコシネディーアイエー)創業者の佐伯永輔が教育映画普及を目指したアテナ・ライブラリーの作品製作に協力する一方、小西六本店(現・コニカミノルタ)に嘱託として招かれ、16mmによる教育映画シリーズ「サクラグラフ」の企画と製作を担当した。同シリーズには本作のように横浜シネマ商会製作の作品が多く含まれている。なお、アテナ・ライブラリーには『京城スケッチ』(1927年)という作品があるが本作との関係は不明。

作品詳細

作品番号
ST000240
映画題名
學校敎科フイルム 京城だより
映画題名ヨミ
ガッコウキョウカフィルムケイジョウダヨリ
製作年月日
1932
時間(分)
16
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
横浜シネマ商會
スタッフ
全日本活映教育硏究會[指導]上野幸清[撮影]青地忠三[監修]
検閲番号等
1932年3月21日
G4175、日、實、俗、京城だより、1巻、128m、岡本洋行(申請者)、東京日日新聞社、一六ミリ、免
同日に同題名のフィルムの検閲記録が上記を含め6件ある。
1932年3月23日
G4261、日、實、風俗、京城だより、1巻、322m、岡本洋行(申請者)、大阪日日新聞社、免
同日に同題名のフィルムの検閲記録が上記を含め10件ある。
1932年11月12日
G15735、日、實、俗、京城だより、1巻、320m、横濱シネマ商會(申請者)、大阪毎日新聞社、免
同日に同題名のフィルムの検閲記録が上記を含め2件ある。
フィルム映写速度
16
備考
元素材は1968年に個人より受贈した16mm不燃性ポジフィルム。
検閲時報の記載(G4175)と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は113.69mで約14m短い。
参考文献
「第十三 京城の友から」(文部省『尋常小學國語讀本 卷十』日本書籍、1929年)72-79頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1874195/1/39
「第十一課 京城の伯母より」(佐藤貞次郎[編]『東亜小册第六 國定敎科書に於ける海外關係記事』東亜經濟調査局、1930年)22-23頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1226366/1/19
水野新幸「編]『大毎フイルム・ライブラリー目錄 昭和七、八年版』(大阪毎日新聞社活動寫眞班、1932年)
 4頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1212460/1/14
 80頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1212460/1/52
「讀方「京城だより」(其の一)(其の二)」(東京市赤羽小學校『體驗に基づく映畫學習指導書』全日本映畫敎育硏究會、1935年)271-278頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1456835/1/145
全日本映畫敎育研究會編『日本敎育映畫總目錄 昭和十二年版』(大阪每日新聞社『映畫敎育』第百七輯附録、1937年)69頁(国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1115775/1/38
横浜市神奈川図書館[編]『横浜シネマ商会の業績 映画作品目録1923-1945』(横浜市神奈川図書館、1998年)9、55頁