フィルムは記録する

南の島 琉球

沖縄の名所旧跡、産物、人々の暮らしや自然を紹介する大阪毎日新聞社フィルムライブラリーの教材用映画。本作を使った地理の学習指導案を提案する参考文献(『最新映畫敎育の動向と實踐』)では、「撮影手法は餘り上等ではないが地理學的の素材としては現代地理映畫の模範と考へてよい」と評されている。映し出されるのは首里城、「世衰の墓」と表示される浦添ようどれ、真玉橋、墓所、壺屋の陶器作りの様子、那覇港と市場の賑わい、農村の機織り、サトウキビ畑と馬を動力に使っての圧搾作業、旧正月20日の尾類(ジュリ)馬行列、村芝居の踊り、ハブ、台風の脅威、糸満の町並み、サバニという木造舟を使った出漁、働く女性たちの姿、戻った舟から漁獲物を分ける様子などで、元素材の状態は良好とはいえないが、戦前の沖縄の貴重な記録のひとつといえよう。

作品詳細

作品番号
ST000279
映画題名
南の島 琉球
映画題名ヨミ
ミナミノシマ リュウキュウ
製作年月日
1934
時間(分)
16
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
大阪毎日新聞社
検閲番号等
1935年3月26日
J4000、日、實、風景、南の島琉球、1巻、127m、アクメ商會(製作者)、東京日日新聞社、一六ミリ、免
同日に同題名のフィルムの検閲記録が上記を含め16㎜で5件、35mmで4件ある。
元素材には検閲番号の一部とみられる穿孔跡があり、以下の検閲時報の記録に該当する可能性がある。
1938年6月8日
M18455、日、實、風、南の島琉球、1巻、121m、東京日日新聞社(製作者、申請者とも)、一六ミリ、免
なお、元素材には途中で別の穿孔跡「ヘ617」も確認できるが、これが何を意味するかは確認できていない。
フィルム映写速度
16
備考
元素材は、国立映画アーカイブが所蔵する16㎜不燃性デュープネガフィルムより2003年度に作製した16mmポジフィルム。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は120.207mでほぼ同尺である。
本作の製作年については不明確な点もあるが、ここでは参考文献の出版年から判断した。なお、大阪毎日新聞社には『琉球の雜感』もしくは『琉球雑感』という題名の作品もあるが本作との関係は不明である。
参考文献
鈴木喜代松『最新映畫敎育の動向と實踐』(明治圖書、1934年)212-218頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1464000/1/119