フィルムは記録する

昭和の帝都 昭和五年三月

関東大震災からの復興を祝す帝都復興祭に関連した作品で、東京の街並みや橋梁、各種の建築といった社会インフラを中心に、震災から6年余りを経た時点における各所の復興状況を伝える。各場面は短いものの空撮を含む撮影場所は多岐にわたり、震災映画の一部が挿入され、火災による焼失面積や震災前後の人口変動がグラフで示される。主な撮影対象として、東京駅、日本橋、相生橋、永代橋、清洲橋、蔵前橋、駒形橋、言問橋、聖橋、浜町公園、元町公園、震災記念堂、東京市龍泉寺町託児所、東京施設龍泉寺町簡易宿泊所、本郷の東京帝国大学、上野公園の国立博物館、科学博物館、帝国図書館、中央気象台、明治神宮と靖国神社、神宮の絵画館と外苑競技場、東京市三河島汚水処分場、秋葉原の青果市場、上野広小路松坂屋の屋上、浅草映画館街、歌舞伎座、愛宕山の東京中央放送局などがある。また、東京駅附近、浜離宮、国技館附近、歌舞伎座附近などが空撮で収められており、市電からの移動撮影で捉えられた銀座通りには京橋の第一相互館が遠くに見える。なお、1930年3月の帝都復興祭では『輝やく大東京 第一篇 光榮の御巡幸 昭和五年三月二十四日』(ST000192)に記録された昭和天皇による行幸(24日)が行われ、帝都復興完成式典(26日)が開催された。

作品詳細

作品番号
ST000261
映画題名
昭和の帝都 昭和五年三月
映画題名ヨミ
ショウワノテイトショウワゴネンサンガツ
製作年月日
1930
時間(分)
23
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
文部省
配給会社
文部省
配給年月日
1930.6.[頒布]
検閲番号等
1930年6月20日
E8087、日、實、景、昭和の帝都、2巻、473m、文部省(製作者、申請者とも)、免
同日に同題名のフィルムの検閲記録が上記を含め2件ある。
フィルム映写速度
18
備考
元素材は、1971年度に文部省より管理換された35㎜不燃性マスターポジフィルム。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は460.568mで12m以上短い。
帝都復興事業の関連作品として「関東大震災映像デジタルアーカイブ」で公開している『帝都復興』(1930年、復興局)がある。
参考文献
「復興映畫製作に文部省も乘出す」(『國際映畫新聞』第三十八號、1930年)65頁
「活動寫眞「フイルム」頒布」(『官報』第一〇二七號、1930年6月4日)113頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/2957494/1/9
文部省社會敎育局編『文部省敎育映畫時報 4 昭和六年二月』(1931年)59頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1148960/1/32
文部省『敎育映畫硏究資料 第十八輯 本邦映畫敎育の發達』(1938年)「文部省製作映畫年度別」69頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1451797/1/39