フィルムは記録する

大禮特別觀艦式 昭和三年十二月四日

昭和天皇が即位式後に初めて臨まれた特別観艦式の記録で、『大礼觀兵式 昭和三年十二月二日』(ST000223)と対になる作品。前半では天皇の横浜港駅到着と御召艦への乗艦までの慌ただしい光景が綴られ、後半では横浜港沖で展開する観艦式の模様が収められている。軍楽隊が先導する兵士たちの行進、横浜港駅に着いた正装の参加者たち、準備作業が進む港や待機する艦艇、線路際に並ぶ女学生ら一般の人々の姿などを丁寧に綴ることで、御召列車による天皇の御到着が盛り上げられている。天皇は港から艦載水雷艇にて御召艦榛名に乗艦し、軍艦金剛が先導、本作の撮影者が便乗した比叡と磐手が供奉艦として続く。参考文献(『昭和天皇実録』)によれば、観艦式に参列したのは海軍の艦艇で186隻、英米仏伊蘭特派の軍艦7隻、特別拝観船15隻という。

作品詳細

作品番号
ST000275
映画題名
大禮特別觀艦式 昭和三年十二月四日
映画題名ヨミ
タイレイトクベツカンカンシキショウワサンネンジュウニガツヨッカ
製作年月日
1928
時間(分)
10
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
全日本映画業組合
スタッフ
全日本映画業組合[謹冩]
検閲番号等
1928年12月5日
C14835、日、實、時事、大禮特別觀艦式、1巻、180m、全日本映畫業組合(製作者、申請者とも)、新
同日に同題名のフィルムの検閲記録が上記を含め12件ある。
フィルム映写速度
16
備考
元素材は、2008年に髙田準三氏より受贈した35㎜可燃性ポジフィルム。
髙田準三氏は、1899年神奈川県茅ヶ崎に結核療養所・南湖院を設立した医師でキリスト教徒の髙田畊安の直孫。南湖院では、患者の慰安と地域住民との交流を目的に、毎週土曜日に映画会が催され、院の催事を記録した映画とともに、独自に収集した教育映画や文化・記録映画の上映も行われていたと言われるが、本作もその一本と見られる。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は179.222mでほぼ同じである。
参考文献
『昭和天皇実録 第五』(東京書籍、2016年)248-251頁