フィルムは記録する

富士と五湖巡り

富士登山から富士五湖を巡る行程の中で各所の美しい風景を収める。冒頭の中間字幕で示される漢詩の一部「突兀五千仭 芙蓉挿碧空」は、熊本藩の藩儒で藩校時習館の教授も務めた秋山玉山が富士山を讃えた五言絶句「望芙蓉峰」の3句目と4句目で、書き下しは「突兀(とっこつ)たり五千仭(じん) 芙蓉碧空に挿(さしはさ)む」(参考文献『江戸詩人選集 第二巻』)。山梨側の北口本宮冨士浅間神社から吉田口登山道を通って富士山を登頂、下山後に河口湖から西湖、精進湖、本栖湖を巡ってから引き返して山中湖に向かい、静岡側を回って官幣大社浅間神社(富士山本宮浅間大社)を訪れ、最後は音止の滝と白糸ノ滝に至って終わる。浅間神社の鳥居の下を通る線路や河口湖から西湖へと抜ける旧隧道なども興味深い。

作品詳細

作品番号
ST000274
映画題名
富士と五湖巡り
映画題名ヨミ
フジトゴコメグリ
製作年月日
1926
時間(分)
22
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
文部省
配給会社
文部省
配給年月日
1926.12.[頒布]
スタッフ
文部省[撮影]畑保之(東京高等工藝學校寫眞部助教授)[指導]
検閲番号等
1930年8月8日
E10177、日、實、風景、富士と五湖巡り、2巻、396m、文部省(製作者、申請者とも)免
フィルム映写速度
16
備考
元素材は、1971年度に文部省より管理換された35㎜不燃性マスターポジフィルム。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は395.033mでほぼ同じである。
製作年は管理換時の資料および参考文献(『官報』『敎育映畫硏究資料 第十八輯 本邦映畫敎育の發達』)による。
参考文献
「活動寫眞「フイルム」頒布」(『官報』第四二九〇號、1926年12月10日)284頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/2956440/1/11
「山岳に關する映畫の内容梗槪」(文部省社會敎育局編『文部省敎育映畫時報 1 昭和四年九月』、1929年)7-10頁(国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1148947/1/6
文部省『敎育映畫硏究資料 第十八輯 本邦映畫敎育の發達』(1938年)「文部省製作映畫年度別」66頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1451797/1/38