體操
陸軍戸山学校や東京高等師範学校などの協力を得て、四肢の基本的な運動から行進や駆け足、平均台、跳び箱、跳躍運動、鉄棒などの器械体操に加えてダンスも含む様々な体操の模範的な型を示して体育運動を奨励する教育映画。当初は1929年4月頒布の1巻物だった(参考文献『官報』第六八九號)が、1932年2月に「後篇トシテ編輯」した1巻物が頒布された(参考文献『官報』第一五三〇號)。元素材はこの2作をまとめた2巻版と考えられる。1巻目は「タンブリング」の中間字幕で終わってその実演場面が欠落している。後篇にあたる2巻目はより一般的な関心を集める各種の体操に着目している。最初の国民保健体操(ラジオ体操)では、陸軍戸山学校の軍楽隊からラジオ体操初代指導者となった江木理一とピアノ伴奏の丹生健夫の姿を見ることができる。舞踊家の石井漠が指導する女性たちの舞踊体操、さらに1931年9月に来日したニルス・ブック率いるデンマーク体操の一団が10月(中間字幕に「十一月」とあるのは誤り)に日本体育会体操学校(現・日本体育大学)で行った模範演技、そして明治神宮体育大会での集団体操が続き、最後は体育祭の行進の模様を伝えて終わる。
作品詳細
- 作品番号
- ST000273
- 映画題名
- 體操
- 映画題名ヨミ
- タイソウ
- 製作年月日
- 1928-1932
- 時間(分)
- 25
- サウンド
- サイレント
- カラーの種類
- 白黒
- 製作会社
- 文部省
- 配給会社
- 文部省
- 配給年月日
- 1929.4.[頒布]、1932.2.[頒布]
- 検閲番号等
- 1929年4月9日
D4005、日、實、運、體操、1巻、253m、文部省(製作者、申請者とも)免
参考文献(『官報』第一五三〇號)記載の尺長が285mであることから、以下は「後篇」の検閲記録の可能性が考えられる。
1932年5月16日
G7469、日、實、運、體操A編、1巻、287m、文部省(製作者、申請者とも)免 - フィルム映写速度
- 18
- 備考
- 元素材は、1971年度に文部省より管理換された35㎜不燃性マスターポジフィルム。
検閲時報の2つの記録の合計の尺長(540m)と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は518.806mで約21m短い。 - 参考文献
- 「活動寫眞「フイルム」頒布」(『官報』第六八九號、1929年4月19日)541頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/2957155/1/11
文部省『教育映畫目録』(1930年)巻末附録「文部省製作活動寫眞フィルム目錄」13頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1279223/1/79
「活動寫眞「フイルム」頒布」(『官報』第一五三〇號、1932年2月8日)206頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/2958000/1/10
石井漠『石井式舞踊體操』玉川學園出版部、1932年(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1117889/1/2
文部省社會敎育局編『文部省敎育映畫時報 9 昭和七年九月』(1932年)63頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1148990/1/34
文部省社會敎育局編『文部省敎育映畫時報 10 昭和八年二月』(1933年)100頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1148993/1/53
文部省『敎育映畫硏究資料 第十八輯 本邦映畫敎育の發達』(1938年)「文部省製作映畫年度別」68頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1451797/1/39
NHK[編]『放送の五十年 昭和とともに』(日本放送出版協会、1977年)41頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/12275859/1/23
「年表」(日本体育会百年史編纂委員会[編]『学校法人日本体育会百年史』日本体育会、1991年)1899頁(日体大リポジトリ)https://nittaidai.repo.nii.ac.jp/records/1341