フィルムは記録する

小笠原島

東京から南へ約1,000kmの太平洋上にある小笠原諸島(本作では「小笠原群島」)のうち、おもに父島の各種施設、史跡、産業、農産物、動植物、人々の暮らしを紹介する教育映画で、最後の方で母島にも触れている。父島には日本人の入植以前に欧米系の島民が住んでおり、本作が製作された時点では日本による統治が国際的に認められた1876年から60年も経っていなかった。映画の最初にはアメリカの領土であるグアムから父島までの飛行時間と東京からの飛行時間の差が少ないことを示して、地理的重要性にも注目させている。元素材では「ビンロー樹」と「タコの樹」の画面と字幕が逆に示され、「ウドの大木」の字幕は全く関係ないカットに重ねられるという編集上のミスがあり、「父島要塞司令部」の場面については、本作の中間字幕の採録と説明を掲載した参考文献(『文部省敎育映畫時報 8 昭和六年十一月』)には含まれていない。

作品詳細

作品番号
ST000265
映画題名
小笠原島
映画題名ヨミ
オガサワラジマ
製作年月日
1931
時間(分)
19
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
文部省
配給会社
文部省
配給年月日
1931.6.[頒布]
検閲番号等
1931年11月12日
F12774、日、混、敎、小笠原島、2巻、443m、文部省(製作者、申請者とも)免
フィルム映写速度
20
備考
元素材は、1971年度に文部省より管理換された35㎜不燃性マスターポジフィルム。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は444.429mで約1.5m長い。
製作年は参考文献(『敎育映畫硏究資料 第十八輯 本邦映畫敎育の發達』)による。
参考文献
「活動寫眞「フイルム」頒布」(『官報』第一四二三號、1931年9月25日)630頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/2957891/1/9
「新作映畫解説」(文部省社會敎育局編『文部省敎育映畫時報 8 昭和六年十一月』、1931年)13-19頁(国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1148986/1/9
文部省『敎育映畫硏究資料 第十八輯 本邦映畫敎育の發達』(1938年)「文部省製作映畫年度別」70頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1451797/1/40
伊豆諸島・小笠原諸島民俗誌編纂委員会[編]『伊豆諸島・小笠原諸島民俗誌』(東京都島嶼町村一部事務組合、1993年)1167-1169頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/13178686/1/608