フィルムは記録する

傳書鳩

『尋常小学国語読本 巻十』の「傳書鳩」の内容にほぼ準拠した教材映画。伝書鳩による通信は軍事上においても重要な役目を果たす空の勇士であるとし、その飼育、訓練、実働の状景を演出場面も織り交ぜて紹介する。伝書鳩が使われる例として西園寺公望公爵が別荘を出たことを伝えるために新聞記者が走行する列車から鳩を放ち、鳩舎に戻った鳩がもたらした記事が紙面になるまでの流れを描き、軍事利用では斥候による敵情報告に加えて偵察気球や飛行機あるいは海上の潜水艦や軍艦からの放鳩を見せる。そのほか漁師が豊漁を知らせるために、あるいは水難事故を発見した帝国水難救済会(現・日本水難救済会)のパトロール船が救援を手配するために鳩を使う場面が登場する。

作品詳細

作品番号
ST000253
映画題名
傳書鳩
映画題名ヨミ
デンショバト
製作年月日
1934
時間(分)
15
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
岩岡商會
スタッフ
東京日日新聞社鳩班[後援]關野義雄[指導]
検閲番号等
1934年9月8日
I11104、日、實、敎、傳書鳩、1巻、304m、岩岡商會(製作者)、東京日日新聞社(申請者)、免
フィルム映写速度
18
備考
元素材は、アメリカ議会図書館より返還された35㎜可燃性ポジフィルムを不燃化した35㎜デュープネガ。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は299.335mである。
製作年は参考文献(『映畫敎育』)で新作として紹介していることによる。
参考文献
「第十一 傳書鳩」(文部省『尋常小學國語讀本 卷十』日本書籍、1929年)53-59頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1874195/1/29
「新映畫紹介 敎材『傳書鳩』一卷 岩岡商會作品」「十二月の敎材映畫」(『映畫敎育』第八十一輯、大阪毎日新聞社、1934年)58-59頁
「讀方「傳書鳩」」(東京市赤羽小學校『體驗に基づく映畫學習指導書』全日本映畫敎育硏究會、1935年)255-258頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1456835/1/137
藤原弘道(東京市余丁町小學校)「尋四「小さい傳令使」についての指導案」(『敎材映畫』第三十五輯、十六ミリ映畫敎育普及會、1937年)16-20頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/2247292/1/11
長谷川和夫「十二月の敎材と映畫」(『敎材映畫』第三十五輯、十六ミリ映畫敎育普及會、1937年)22頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/2247292/1/14
「日本水難救済会のあゆみ」(公益社団法人日本水難救済会ホームページ)https://www.mrj.or.jp/about/ayumi/