フィルムは記録する

アテナ・ライブラリー 第五十篇 大氷海

小樽の港を出港し樺太西海岸に沿ってオホーツク海を北上する日本海軍の特務艦大泊の活動の記録。参考文献(『萬有科學大系 續篇 第十卷』)によれば、大泊は1921年に神戸の川崎造船所で建造された砕氷艦で、排水量は2830トン、「厚さ2呎位の氷ならば、容易に破つて進行することが出來る」という。しかし、日露の国境線だった樺太の北緯50度線に近い北緯49度半で結氷海を進めなくなった艦は氷上に投錨。「冒險ずきのカメラマン」は氷上の仮泊の間に樺太の国境の町の敷香町に入り、オロッコ(ウィルタ)のトナカイの橇やギリヤーク(ニヴフ)の犬橇、住居や「敷香教育所」と看板のある学校と子供たち、漁の様子といった少数民族の生活を撮影している。乗員総がかり作業で氷を抜け出した艦は北緯50度まで進むと南に転じ、宗谷海峡に面する亜庭湾の沿いの大泊に寄ったのち小樽に向かう。

作品詳細

作品番号
ST000250
映画題名
アテナ・ライブラリー 第五十篇 大氷海
映画題名ヨミ
アテナライブラリーダイゴジュッペンダイヒョウカイ
製作年月日
1931
時間(分)
15
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
横浜シネマ商会
スタッフ
青地忠三[編輯]上野幸清、嵯峨十藏[撮影]
検閲番号等
1931年3月19日
F2883、日、實、風、大氷海、1巻、310m、岡本洋行(製作者、申請者とも)、新
元素材には検閲番号の穿孔跡があり、以下の検閲時報の記録と合致する。
1931年4月20日
F4290、日、實、風、大氷海、1巻、305m、岡本洋行(製作者)、文部省(申請者)、免
フィルム映写速度
18
備考
元素材は、1971年度に文部省より管理換された35㎜不燃性デュープネガ。
検閲時報の記載(F4290)と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は303.316mでほぼ同じである。
アテナ・ライブラリーの通番号については、『映像文化の担い手として 佐伯英輔「ヨコシネ」の歩んだ70年』(92頁)では52編となっているが、ここでは本篇先付に従って、「第五十篇」として題名表記した。また、同文献(26頁)では題名を『砕氷船』としている。
参考文献
仲摩照久[編]『萬有科學大系 續篇 第十卷』(萬有科學大系刊行會、1930年)519頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1243479/1/289
『映像文化の担い手として 佐伯永輔「ヨコシネ」の歩んだ70年』ヨコシネディーアイエー、1995年)26頁、および[資料1]「アテナ・ライブラリー作品一覧」92頁
横浜市神奈川図書館[編]『横浜シネマ商会の業績 映画作品目録1923-1945』(横浜市神奈川図書館、1998年)13、20、67頁