フィルムは記録する

大正天皇御大喪儀[大日本活動寫眞協會版]

文部省と宮内省による『大正天皇御大喪の御儀』(ST000181)と同じく1927年2月の大正天皇の御大喪儀を伝える記録で、葬儀殿が設置された新宿御苑に鹵簿が歩を進める前半と、東浅川の深夜の道を葱華輦の列が多摩御陵(武蔵陵墓地)に向かう後半という構成も同様である。鹵簿の撮影場所は参考文献(『大正天皇御大喪儀記錄』)に赤坂区葵町の旧東伏見宮邸前(現・港区虎ノ門2丁目)とあり、中間字幕でも「葵橋にて謹寫」と示される。カメラは鹵簿の進行方向の左から行列に向けられており、右からのアングルの『大正天皇御大喪の御儀』とは反対になる。なお、雪の降る新宿御苑の葬儀殿の場面については参考文献(『大正天皇御大喪奉送誌』)に、大喪儀2日前の2月5日は「早朝ヨリ降リ始メタル雪ハ、夜ニ至ルモ止マス」と記されていることから同日の撮影と考えられる。翌6日は「五日朝來ノ雪御道筋ヲ覆ヒ」「除雪及御道筋道路ノ洗滌ニツトム」と記される。大日本活動写真協会は元々は各地方ごとの検閲の統一をもとめ日活、松竹など大手の映画会社によって設立された団体で、大喪儀にあたり全国新聞通信社と謹写団を組織して撮影にあたった。

作品詳細

作品番号
ST000251
映画題名
大正天皇御大喪儀[大日本活動寫眞協會版]
映画題名ヨミ
タイショウテンノウゴタイソウギ[ダイニホンカツドウシャシンキョウカイバン]
製作年月日
1927
時間(分)
15
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
大日本活動寫眞協會
スタッフ
大日本活動寫眞協會[謹寫]
検閲番号等
1927年2月8日
B1433、日、實、時事、大正天皇御大喪儀 乙種、1巻、293m、大日本活動寫眞協會(製作者、申請者とも)、新
同日に同題名のフィルムの検閲記録が上記を含め160件ある。
元素材には検閲番号の穿孔跡があり、以下の検閲時報の記録と合致する。
1927年2月10日
B1853、日、實、時事、大正天皇御大喪儀、1巻、300m、大日本活動寫眞協會(製作者、申請者とも)、複一八七
同日に同題名のフィルムの検閲記録が上記を含め68件ある。
フィルム映写速度
18
備考
元素材は、1967年度にアメリカ議会図書館より返還された35㎜可燃性ポジフィルムを不燃化した35㎜デュープネガ。
検閲時報の記載(B1853)と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は307.583mで約7.6m長い。
参考文献
東京市役所[編]『大正天皇御大喪奉送誌』(東京市役所、1927年)「御大喪奉送日錄」8頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1190443/1/434
警視廳總監官房文書化記錄係『大正天皇御大喪儀記錄』(警視廳、1928年)522頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1212129/1/373
文部省『敎育映畫目錄』(1930年)2頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1279223/1/7