フィルムは記録する

東北一瞥

鉄道省が旅客誘致のために製作したPR映画で、宮城県の松島の景勝と国宝の五大堂、青森県の小川原沼(小川原湖)、『海の生物』(ST000177)の撮影場所でもある浅虫温泉の東北帝国大学の臨海実験所(現・東北大学大学院生命科学研究科附属浅虫海洋生物学教育研究センター)の水族館、八戸の「えんぶり」、そして十和田湖などが紹介される。元素材にはメインタイトルはあるがエンドは無い不完全版で、参考文献(『國際映畫新聞』『フイルムレビュー』)の紹介文によれば、松島の前に日光にも訪れていることが分かる。旅行客役として林千歳、田中絹代、渡辺篤など当時の松竹キネマの俳優たちが出演しており、同社の製作関与の可能性が考えられるものの詳細は不明。なお、十和田湖の場面の観光船に旗が掲げられている「世界公園館」は湖畔にあった旅館施設である(参考文献『十和田湖探勝案内)。

作品詳細

作品番号
ST000246
映画題名
東北一瞥
映画題名ヨミ
トウホクイチベツ
製作年月日
1929
時間(分)
12
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
鉄道省
検閲番号等
1929年12月14日
D15173、日、實、宣、其他、東北一瞥、1巻、350m、鐵道省(製作者、申請者とも)、免
フィルム映写速度
18
備考
元素材は、アメリカ議会図書館より返還された35㎜可燃性ポジフィルムを1971年度に不燃化した35㎜デュープネガ。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は238.683mで110m以上短い。
製作年は参考文献(『昭和四年度 鐵道省年報』)および検閲記録による。
参考文献
中野雪山『十和田湖探勝案内 附・八甲田山及十和田附近案内』(文明堂書房、1925年)113-114頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/915228/1/76
「新作映畫紹介」(『國際映畫新聞』第三十七號、1930年)51頁
『昭和四年度 鐵道省年報』(鐵道省、1930年)101頁(国立国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1076916/1/63
「鐵道省映畫目錄」(『フイルムレビュー』第五巻第二號、日本交通映畫協會、1931年)
「絵ハガキ(世界公園舘) 世界公園舘本店」(青森県史デジタルアーカイブス)https://kenshi-archives.pref.aomori.lg.jp/il/meta_pub/G0000004pic_09887-01
「絵ハガキ(世界公園舘) 世界公園舘桟橋之全景」(青森県史デジタルアーカイブス)https://kenshi-archives.pref.aomori.lg.jp/il/meta_pub/G0000004pic_09887-04