フィルムは記録する

昭和七年二月十四日 李王殿下を奉迎して

朝鮮王室の李垠(英親王李垠。韓国併合後の1926年に王位を継ぎ昌徳宮李王垠と称される)が阪妻関東撮影所を視察に訪れた際の貴重な記録。阪東妻三郎は1931年1月に大日本自由映画プロダクション阪妻関東撮影所の設立を発表し、京成電鉄の後援を受けて千葉県谷津海岸の敷地に撮影所を開設した。本作は、李垠一行の到着と撮影所施設および撮影の見学、阪妻が役の扮装のままで同席する食事の様子、そして一行が撮影所を後にするまでが綴られている。検閲の記録は確認できていないが、トップ、エンドとも欠落が無く、内容にまとまりがあることから完全版と考えられる。李垠が見学する撮影中の作品は視察の翌月に公開された『かまいたち』(東隆史監督)の可能性があり、デブリー社製のパルヴォ(モデルL)とみられる撮影機を扱っているのは撮影を担当した友成達雄と考えられる。また、撮影所広場の背景にはユニークな形のファサードを持つ阪妻関東撮影所の第一ステージが映り込んでいる。

作品詳細

作品番号
ST000239
映画題名
昭和七年二月十四日 李王殿下を奉迎して
映画題名ヨミ
ショウワシチネンニガツジュウヨッカリオウデンカヲホウゲイシテ
製作年月日
1932
時間(分)
7
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
阪妻関東撮影所
スタッフ
阪妻関東撮影所[撮影]
フィルム映写速度
18
備考
元素材は、2014年度に阪東妻三郎のご令孫である田村幸士氏より受贈した35mm可燃性ポジフィルムを不燃化した35mmインターネガフィルムを経て作製した35mm上映用ポジフィルム。この35mmプリントは2014年度の上映企画「発掘された映画たち2014」において上映されている。