フィルムは記録する

第三十回 醫王祭 十二月二十五日

医師でキリスト教徒の髙田畊安が神奈川県茅ケ崎に設立した結核療養所南湖院では、毎年12月25日に患者家族や地域住民を招いて盛大な祭事を催していた。参考文献に挙げた髙田畊安自身の文章によれば、「醫」はイエスの「イ」であり、その字を宛てたのはイエスが「人の身體及精神の病を治す醫師」だったからという。なお仏教に「醫王」という言葉があり、仏や菩薩が仏法を説いて人の悩みをいやすことを、医師が病人を救うことにたとえたことをいう。本作は1930年に行われた祭事の記録で、冒頭茅ヶ崎の海岸に面した南湖院の広大な敷地から見晴らす富士の姿が美しい。エンドは欠落しているとみられる。

作品詳細

作品番号
ST000226
映画題名
第三十回 醫王祭 十二月二十五日
映画題名ヨミ
ダイサンジュッカイイオウサイジュウニガツニジュウゴニチ
製作年月日
1930
時間(分)
17
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒/染色
製作会社
南湖院
フィルム映写速度
14
備考
元素材は、2008年に髙田準三氏より受贈した一部染色版の35㎜可燃性ポジフィルム。
髙田準三氏は、1899年に南湖院を設立した髙田畊安の直孫。南湖院では、患者の慰安と地域住民との交流を目的に、毎週土曜日に映画会が催され、院の催事を記録した映画とともに、独自に収集した教育映画や文化・記録映画の上映も行われていたと言われる。
参考文献
髙田畊安「醫王祭の由來及び其意義」(『新人』第十八巻第一號、1917年)78-79頁
『信仰三十年 基督者列傳』(警醒社書店、1921年)261頁(国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/963340/1/146