フィルムは記録する

帝都の防空

1933年8月9日から11日まで実施された大規模な関東防空演習に際して、神田区防護団第六分団が行った演習活動の記録。第六分団は現在の千代田区外神田の大部分に相当する。参考文献(『帝都之防護』)によれば、演習は東京、千葉、神奈川、埼玉を演習区域として太平洋方面からの空襲を想定して昼夜行われ、本作はその内容から8月9日の記録と考えられる。第六分団に警察、消防、医療機関に日本赤十字社派遣隊も加わった活動の様子が紹介されるが、演習には老若男女を問わず市民が参加し、上空には航空隊が飛び、実際の火を使った焼夷弾火災の鎮火訓練、煙幕を使ったガス弾への対応訓練まで行うなどその規模の大きさが画面から伝わる。この演習は信濃毎日新聞の主筆・桐生悠々が社説「関東防空大演習を嗤ふ」で批判したことでも知られる。なお、終結部の国旗のカットが繰り返される編集と染色の跡が確認されるエンド・タイトルについては、本来のものではない可能性がある。

作品詳細

作品番号
ST000225
映画題名
帝都の防空
映画題名ヨミ
テイトノボウクウ
製作年月日
1933
時間(分)
23
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
櫻映画製作所
スタッフ
角田隆治郎(神田区第六分団 研究部員)[編輯]櫻映画製作所[撮影]神田区防護団 第六分団其他[演習團体]
検閲番号等
1933年8月15日
H8891、日、實、時事、帝都の防空、2巻、448m。櫻映畫社(製作者、申請者とも)、新
元素材には検閲番号の穿孔跡があり、上記の検閲時報の記録と合致する。
フィルム映写速度
18
備考
元素材は、2004年度に角田実氏より受贈した35㎜可燃性ポジフィルム。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は474.616mで約27m長い。
参考文献
「關東防空大演習に際して各方面の撮影隊が大活躍」(『國際映畫新聞』第一〇八號、1933年)20頁
『帝都之防護』(帝都防空史編纂所、1934年)11-25頁
桐生悠々「関東防空大演習を嗤う」(『畜生道の地球』(中公文庫、1989年)17-20頁
『新編 千代田区史 通史編』(東京都千代田区、1998年)963-964頁