フィルムは記録する

海の底の話

房州の臨海実験所の研究者である伯父さんから甥っ子に届いた手紙の内容という設定で、様々な小魚、サメ、カニ、タコ、イセエビ、ナマダ(ウツボ)といった海の生物を紹介する教育映画。同じく文部省製作の『海の生物』(ST000177)と編集に違いはあるものの、複数の場面やカットが一致しており、特にタコの生態とウツボとの争いが描かれる後半の構成は共通している。ただし、タコが蛸壺に逃げ込んだ後の終結部は異なる。参考文献(浅岡力)から、臨海実験所として映し出される建物は1932年に千葉県小湊に開設された水産講習所(現在の海洋大学)の実習場本館と分かる。建物1階は水族館に充てられ、児童の遠足に利用されたという。

作品詳細

作品番号
ST000220
映画題名
海の底の話
映画題名ヨミ
ウミノソコノハナシ
製作年月日
1932
時間(分)
13
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
文部省
配給会社
映畫敎育中央會[提供]
検閲番号等
1933年4月21日
H4590、日、實、敎、海の底の話、1巻、233m、文部省(製作者、申請者とも)、免
元素材には検閲番号の穿孔跡があり、以下の検閲時報の記録と合致する。
1938年2月18日
M5226、日、實、敎、改訂 海の底の話、1巻、238m、文部省(製作者)、映畫敎育中央會(申請者)、免
元素材のメインタイトルには「改訂」は付いていない。
フィルム映写速度
16
備考
元素材は、1971年度に文部省より管理換された不燃性35㎜デュープネガフィルム。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は233.209mで5mほど短い。
参考文献
「新作映畫解説」(文部省社會敎育局編『文部省敎育映畫時報 10 昭和八年二月』、1933年)10-14頁(国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1148998/1/9
文部省『教育映畫研究資料 第十七輯 中央官廳に於ける映畫利用狀況』(1937年)29頁(国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1451793/1/18
全日本映畫敎育研究會編『日本敎育映畫總目錄 昭和十二年版』(大阪每日新聞社『映畫敎育』第百七輯附録、1937年)68頁(国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1115775/1/38
文部省『敎育映畫硏究資料 第十八輯 本邦映畫敎育の發達』(1938年)「文部省製作映畫年度別」71頁(国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1451797/1/40
浅岡力「小湊漁港の「みなと文化」」№26-10-11頁(みなと文化研究事業)