フィルムは記録する

大礼觀兵式 昭和三年十二月二日

昭和天皇が即位後に初めて臨席した代々木練兵場における大礼観兵式の記録で、参考文献(『大禮記錄』)によれば、陸軍省で大礼観兵式謹写団が組織されたという。観兵式挙行の合図となる気球の上昇、居並ぶ撮影機とキャメラマンたち、ラジオアナウンサー、正装の陪観者たちの点描に始まり、鹵簿の到着、閲兵式、飛行機の空中分列と地上部隊の分列の様子が続く。検閲記録との照合で全体の半分以上の欠落が判明しており、参考文献(『昭和天皇実録 第五』)によれば、分列式終了後には天皇による勅語の朗読と白川義則陸軍大臣による奉答文の奏上が行われたという。また、天皇は閲兵式以降すべて騎乗した姿で捉えられているが、この時の御料馬は有名な「白雪」ではなく「初緑」という馬だったとある。

作品詳細

作品番号
ST000223
映画題名
大礼觀兵式 昭和三年十二月二日
映画題名ヨミ
タイレイカンペイシキショウワサンネンジュウニガツフツカ
製作年月日
1928
時間(分)
5
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
全日本映画業組合
スタッフ
全日本映画業組合[謹写]
検閲番号等
1928年12月3日
C14649、日、實、時事、大禮觀兵式、1巻、180m、全日本映画業組合(製作者、申請者とも)、新
同日に同題名のフィルムの検閲記録が上記を含8件ある。
元素材には検閲番号の穿孔跡があり、以下の検閲時報の記録と合致する。
1928年12月12日
日、實、時事、C15249、大禮觀兵式、1巻、180m、全日本映畫業組合(製作者、申請者とも)、複一五
フィルム映写速度
16
備考
元素材は、1968年にアメリカ議会図書館より返還された35㎜可燃性ポジフィルムを不燃化した35㎜デュープネガ。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は86.575mであることから、93m以上欠落していることが分かる。
参考文献
『大禮記錄』(警視廳總監官房文書課記錄、1929年)301-302頁(国会図書館デジタルコレクション)https://dl.ndl.go.jp/pid/1224928/1/234
『昭和天皇実録 第五』(東京書籍、2016年)244-247頁