フィルムは記録する

卽位の大禮 昭和三年十一月

1928年11月に京都を中心に行われた昭和天皇の即位式と一連の儀式を宮内省がまとめた作品で、少ない検閲記録からは本作が広く公開されることは想定されていなかったともみられる。元素材は本来の尺長の3分の1以上が欠落しており、1巻目の終わりで即位の礼当日に参集する人々が捉えられているが、巻が替わると伊勢神宮への親謁の場面になることから、即位式に関わる部分の欠落の可能性が考えられる。一方、本作では皇居内で天皇が鳳輦(屋根に鳳凰を戴いた儀装馬車)に乗り込む様子から収められるなど、文部省版や御大礼謹写団版には見られないような、天皇との距離が近い映像が含まれている点にその特徴が認められよう。

作品詳細

作品番号
ST000222
映画題名
卽位の大禮 昭和三年十一月
映画題名ヨミ
ソクイノタイレショウワサンネンジュウイチガツ
製作年月日
1928
時間(分)
31
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
宮内省
配給会社
宮内省[貸下]
検閲番号等
1929年5月30日
D6269、日、實、時事、卽位の大禮、3巻、849m、宮内省(製作者)陸軍省新聞班(申請者)、免
元素材には検閲番号の穿孔跡があり、以下の検閲時報の記録と合致する。
1932年8月2日
G11286、日、實、時事、卽位の大禮、3巻、893m、宮内省(製作者)、陸軍省新聞班(申請者)、免
フィルム映写速度
16
備考
元素材は、1967年にアメリカ議会図書館より返還された35㎜可燃性ポジフィルムを不燃化した35㎜デュープネガ。
検閲時報の記載と比べると、元素材である上述のフィルムの尺長は560.866mで約332m短くなっている。
参考文献
『昭和天皇実録 第五』(東京書籍、2016年)201-241頁