フィルムは記録する

攝政宮殿下活動寫眞展覧會御台覧実况

1921年12月8日、東京・湯島聖堂内の東京博物館において開催中の文部省主催による活動写真展覧会(会期は11月20日から12月10日まで)に、その直前11月25日に摂政に就任した皇太子裕仁が観覧に訪れた際の記録。ミニチュアによるセットなどを熱心に見る皇太子の姿が比較的近くから撮られている。メインタイトルに「並 尾上松之助主演 楠公父子櫻井驛の別れ」と付されていることから、重文指定された作品『史劇楠公訣別』のフッテージが繋がれて上映されていた可能性がある。

作品詳細

作品番号
ST000035
映画題名
攝政宮殿下活動寫眞展覧會御台覧実况
映画題名ヨミ
セッショウノミヤデンカカツドウシャシンテンランカイゴタイランジッキョウ
製作年月日
1921
時間(分)
3
サウンド
サイレント
カラーの種類
白黒
製作会社
文部省
フィルム映写速度
16
備考
元素材は、1953年度に津田時雄氏より購入した35㎜可燃性ポジフィルムより(当時の登録題名は「摂政宮活動展行啓」)、1961年度に不燃化した35㎜インターネガ。
活動写真展覧会と皇太子渡欧映画、ならびに尾上松之助一派による「楠公訣別」撮影現場の台覧については、紙屋(2016年)による詳しい分析がある(44-46頁)。
参考文献
紙屋牧子「”皇太子渡欧映画”と尾上松之助――NFC所蔵フィルムにみる大正から昭和にかけての皇室をめぐるメディア戦略」(『東京国立近代美術館研究紀要』東京国立近代美術館、2016年)35-54頁
(東京国立近代美術館リポジトリ)http://id.nii.ac.jp/1659/00000020/
東京国立近代美術館フィルムセンター編『FC フィルムセンター 11 日本の記録映画特集―戦前篇⑴』(東京国立近代美術館、1973年)5頁