フィルムは記録する

輝やく大東京 第一篇 光榮の御巡幸 昭和五年三月二十四日

1930年3月24日に行われた昭和天皇による復興帝都巡幸の記録。冒頭に震災復興事業として建設された永代橋と清洲橋が映される。田安門内石垣の展望所にはじまり、東京府立工藝学校、上野公園西郷銅像前、隅田公園河畔遊歩道と震災記念堂(現在の東京都慰霊堂)、日本橋区の千代田尋常小学校、そして清洲橋を通過して東京市立築地病院へとまわる当日の巡幸先が、町々の様子と沿道の市民の表情をはさみつつ綴られてゆく。第二篇はサブタイトルを「復興の壽ぎ」として製作された。

作品詳細

作品番号
ST000192
映画題名
輝やく大東京 第一篇 光榮の御巡幸 昭和五年三月二十四日
映画題名ヨミ
カガヤクダイトウキョウ ダイイッペン コウエイノゴジュンコウ ショウワゴネンサンガツニジュウヨッカ
製作年月日
1930
時間(分)
15
サウンド
サイレント
カラーの種類
染色
製作会社
東京市敎育局社會敎育課
スタッフ
財團法人 大日本敎育映画協會[撮影]
検閲番号等
1930年3月24日
E3629、日、實、時事、輝く大東京、1巻、518m、東京市社會敎育課(製作者)、敎育映畫協會(申請者)、新
1930年3月25日
E3665、日、實、時事、改訂輝く大東京、1巻、256m、東京市社會敎育課(製作者)、敎育映畫協會(申請者)、新
同日に同題名のフィルムの検閲記録が上記を含め3件ある。改訂版は巡幸当日の24日に申請されたフィルムの再編集版と考えられるが、元素材は尺長(274.061m)で改訂版より約18m長い。
フィルム映写速度
16
備考
元素材は、2008年に髙田準三氏より受贈した35㎜可燃性染色ポジフィルムを不燃化した35㎜インターネガで、デジタル化に際して染色を再現した。
髙田準三氏は、1899年神奈川県茅ヶ崎に結核療養所・南湖院を設立した医師でキリスト教徒の髙田畊安の直孫。南湖院では、患者の慰安と地域住民との交流を目的に、毎週土曜日に映画会が催され、院の催事を記録した映画とともに、独自に収集した教育映画や文化・記録映画の上映も行われていたと言われるが、本作もその一本と見られる。
「関東大震災映像デジタルアーカイブ」で公開している『帝都復興』(1930年、復興局)に「御巡幸編」として含まれる『帝都の復興 聖上御巡幸』は本作と同じ題材を扱っている。
参考文献
全日本映畫敎育研究會編『日本敎育映畫總目錄 昭和十二年版』(大阪每日新聞社『映畫敎育』第百七輯附録、1937年)12頁
『昭和天皇実録 第五』(東京書籍、2016年)555-558頁